誰も住んだことがないまっさらな「新築物件」って気持ち良いですよね。
ただ、新築だからって安心してはいけません。
なかにはあまり質の良くないものもあるのです。
今回はそのことについてお話しましょう。
今回は新築の一戸建を購入する場合に注意すべきことについてお話します。
一口に新築一戸建住宅と言っても分譲会社や販売の手法が様々です。
中には「売れれば良い」という会社も無いわけではありません。
ではどの辺を注意すれば良いのか?

1.建売住宅の施主
建売住宅の分譲主には、大別すると3種類あります。
①大手デベロッパー(財閥系・電鉄系・ハウスメーカー系など)
②パワービルダー(一建設など)
③その他の建売業者

大手デベロッパーとはマンションなどの分譲も行う総合デベロッパーで、ある程度の歴史と信用とネームバリューがある施主を指します。
株式上場している会社がほとんどですが、パワービルダーにも株式上場している会社がありますので分類の際に注意が必要です。
大手デベロッパーが分譲する一戸建住宅は10棟以上の区画の事業所であることが多いのですが、最近では2~3棟の分譲も手掛けるようになっています。
大手デベロッパーは社会的な信用があるので、建物仕様に関しても標準以上となっており、現場管理もそれなりに行われています。
手抜き工事は少ないと思いますが、仮に下請け業者に手抜きがあった場合についても施主であるデベロッパーの保証が付きますしアフターサービスもある程度充実していますので安心感があります。
手抜き工事業者の評判が立ち「看板」に傷が付くことは決して良しとはしないでのです。
その分、その他の施主が分譲するものに比べ割高になる場合が多いと思います。
パワービルダーとは大手デベロッパーよりも新しく事業参入しており、マンション分譲にはあまり取り組んでいないことが多く、建売住宅を得意としています。
上場している会社もあり、年間の分譲戸数が多いのが特徴の一つです。一戸建分譲に関してのノウハウがあるという意味合いで多少の安心感はあります。
パワービルダーは、建物の建築コストを抑えることで、土地の仕入れや販売を有利に進め、早期売却を狙います。
大手デベの場合には、建物が完成してから販売活動を開始したり、モデルハウスなどを作ってから販売しますが、パワービルダーの場合はほとんどが青田売りです。
青田売りとは、土地を仕入れた後に建物の建築確認許可を取得後すぐに販売を始める方法で、販売開始当初は建物未着工の場合も多くなります。
パワービルダーの建売住宅については、過去に手抜き工事が発覚した経緯もあり、10年保証などが付くなどの法整備がなされていますので、あからさまな手抜き工事は少ないと思いますが、販売棟数が多いこともあり、現場の施工管理はほとんどされていないと思ったほうが良いでしょう。
その他の建売業者については、あまり説明が要らないと思いますが、年間数棟から数十棟の分譲をする地場業者をさします。
販売手法はパワービルダーとほぼ同じ、施工管理についても同様です。
2.仕様の確認

大手が分譲する新築一戸建のなかで、完成販売の場合はあまり問題が無いと思いますが、未完成物件を検討する場合には、建物等の仕様について設計図書や仕様書をきちんと読み込んで確認することが必要です。
建物等と書いたのは、外構・植栽・駐車場設備なども含まれるからです。
パワービルダー等の分譲住宅は、価格を抑えるために様々なものがオプションになるケースが少なくありません。
あって当たり前という先入観は捨てて下さい。
たとえば「クローゼットのハンガーを掛ける棒などもオプション、下駄箱もオプション、網戸・カーテンレールもオプション、塀のフェンスや門・ポストもオプション、駐車場の車輪止めも当然オプション。」ということが少なからずあります。
結局あとで付けることになり思わぬ出費やトラブルにつながります。
またこの時に、屋根裏や床下等を確認するための点検口があるかも確認しましょう。
点検口は将来のメンテナンスの時に重要な役割を果たします。
床下は床下収納庫があれば同様の役割を果たします。
ビルトインの駐車場であったり、土地ギリギリに建物が建築されるような場合、駐車場の寸法や車の停め方についても十分確認してください。
図面上の寸法と実際完成してからの寸法にはかなりの誤差が生じる場合があるので、多少の余裕が無いと車を買い替えなくてはいけなくなります。
民法上、建物の外壁と隣接地との境界との距離は50cm離さなくてはならないことになっていますが、実際はそうで無いケースもあります。
メンテナンスや改築の際に影響しますので注意しましょう。
3.仕様変更
本来、建売分譲は建築確認の許可を受けていなければ販売を開始することはできません。
もしもそれより早く販売を開始すれば「宅地建物取引業法」に違反することになり罰則の対象となります。
また「建築条件付き宅地分譲」という分譲方式があり、売主あるいは売主の関連会社と3か月以内に請負契約を結ぶ前提で土地の売買契約を締結するものですが、3か月以内に請負契約が結ばれなければキャンセルになります。
「建築条件付き土地売買」は建物がフリープランであるはずなのですが、建売にも関わらず建築確認が未許可なので「建築条件付き宅地売買」で契約するケースもあり、これは法令違反となります。
建売住宅の場合には「建築確認申請」を済ませているために原則としてプランの変更はできません。
軽微な変更であり、「建築確認変更申請」で済むような場合で、建物が着工前であれば、まれに変更ができる場合があります。
4.竣工検査
建築確認申請をして建築された建物が完成した場合、行政の建築所管が竣工検査をします。
その結果、申請通り建てられていれば「検査済証」が発行されます。
しかし、変更申請をしていない変更等があると「検査済証」は発行されません。
その場合、融資や後日改築などをするときに問題になることがあります。
5.引き渡し確認
役所の竣工検査とは別に、建物が竣工したときに、購入者が建物の完成状況を内覧して不備が無いかチェックするタイミングがあります。
この確認は必ずしてください。
なるべく時間をかけて隅々までチェックしましょう。
可能であれば建築のプロなどに同行を依頼して確認をしてもらうのがベストです。
プロを連れて行くと、販売業者は嫌がるかもしれませんが、業者は一時の商売ですが、買い手は一生を左右するかもしれない大事なことです。
嫌がられても気にせずじっくり見て下さい。

6.竣工前引き渡しは絶対に避ける
特に中小の建売業者はなるべく早い資金回収を望むため、建物や外構工事が完全に完成していなかったり、引き渡し確認の際にオーダーした手直しが未了の状態で代金の支払いを求めてくるケースがあります。
未完成や残工事がある状態での支払いは極力避けて下さい。
万が一対応しなくてはいけない場合でも一部の支払いを留保するなどの対応をしたほうが無難です。
全額を支払ってしまうと、工事完了前に売主が倒産したり、そうで無くてもお金を支払ったとたんに対応が遅くなったり、悪くなったりすることがあるので気をつけましょう。
7.第三者のアドバイザーがいればベスト
買い手が一般ユーザーで、相手がプロの場合には、経験や知識が無い分、うまく言いくるめられてしまう心配があります。
仲介業者は必ずしもユーザーの味方というわけではありませんし、仲介業者のほとんどは建物についての知識が不足しています。
ハウスメーカー勤務や建築士の知人がいる場合には、建築図面や仕様書を確認してもらい、建築現場を一緒に見に行ってもらうとか、引き渡し確認に同行してもらうなど、可能であれば是非お願いしてください。

もしいない場合、有料で請け負ってくれるインスペクション会社があります。
設計確認、現地確認同行などをしてくれて料金は10万円から20万円ほど係りますが、家族と人生を共にする高額な買い物ですので検討してみて下さい。
今回のお話はここまで
最後までお読みいただきありがとうございました。
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