中古の不動産は実はとってもコスパが良いのです。
しかし、一方でひどい物件を買ってしまうこともあります。
コストパフォーマンスが良い中古不動産を買って失敗しないために、是非この記事をお読みください。
中古一戸建てを購入してリフォームして住むという住まい方は最近では当たり前ですし、むしろお洒落な住まい方でもあります。
古民家再生という考え方も定着し、高度成長期の建てては壊すようなスクラップ&ビルドの考え方はだいぶ変わってきています。
また投資用としてアパート等を購入する場合は新築よりもむしろ中古物件の流通量が圧倒的に多いと思います。
鉄筋コンクリートで建築されたものは別の回でお話するとして、今回は木造や軽量鉄骨造などの「中古一戸建」「中古アパート」を購入する際に注意することについてお話しましょう。
目次
1.自分で確認できること(中古一戸建・アパート)設計
設計図書の確認
一戸建であっても中古アパートであっても建築時には建築確認申請をするので、その時の設計図面があるはずです。
まずは「建築確認通知書」・「設計図面」・「検査済証」があるか否かを確認してください。
「検査済証」が無い場合は違反建築などの可能性がありますので注意が必要です(一般の工務店が建築した個人の注文住宅ではただ単に取らなかったということもあります)。
建築確認通知書と図面を見て「現況建物」と違いが無いかを確認してください。
現況建物と設計図面に差異がある場合は、違反建築や無許可増改築の可能性があります。
そのような場合、融資を受ける際に問題があったり、増改築の際に問題になるケースがありますので注意してください。
都市計画法では建ぺい率と容積率が定められています。
建ぺい率とは簡単に言えば床面積が一番大きい階の床面積の敷地面積に対する割合で、容積率とは建物の床面積の合計の敷地面積に対する割合のことです。
建物の一番広い階の床面積(建築面積)÷敷地面積×100=建ぺい率
建物の床面積の合計(延床面積)÷敷地面積×100=容積率
現況の建物の各面積が指定された建ぺい率や容積率を超えるような場合にも違反建築や無許可増改築の可能性があり同様の影響があります。
なお、地下室や地下駐車場など面積に参入されない箇所もありますので、建築確認通知書等でご確認ください。
なお、所有者が建築確認通知書や設計図面を紛失しているようなケースも少なくありません。
そのような場合には役所の建築課などで「建築概要書」を取得できます(建物がかなり古い場合には保管されていないこともあります)。
建築概要書には建築確認申請時の床面積等の概要が記載されていますのでそちらの数値と現況の数値に差異が無いかを確認してください。
建築確認通知書と現況建物が異なる場合で、建物の構造耐力に影響を及ぼすような変更があれば、建物の強度が不足するようなケースもあるので注意が必要です。
目視による確認

マンション編でも書いたように、素人でも目視で確認ができることがあります。
物件見学の時は、遠慮せずに重要なポイントをしっかり目視確認してください。
①建物外観

◆建物基礎に大きなひび割れなどが無いか、通風孔はあるか。→地盤沈下等
◆建物の外壁に大きなヒビ割れやハラミが無いか、タイルの割れや欠落は無いか。→建物歪み等
◆晴れているのに外壁に濡れているような染みは無いか。→雨漏り
◆極端な黒カビの発生は無いか。→雨漏り・水漏れ・結露
◆屋根瓦に破損は無いか。→雨漏り
◆雨樋に破損・不備は無いか。雨樋から雑草が生えているようなことは無いか。
◆エアコン室外機・給湯器・アンテナ等が問題なく設置されているか。
◆屋根瓦に破損は無いか。→雨漏り
◆食べ物周辺に竹や篠などが生えていないか?
◆塀にハラミやヒビは無いか
◆アパートの場合集合ポスト周辺等の清掃状況
②建物内部

◆扉などの建具の建付け→建物歪み
◆床の傾きは無いか→建物歪み、地盤沈下
◆床鳴りや床の沈み→基礎部分の問題
◆石膏ボードの歪みなどによる壁クロスの裂け屋→建物歪み
◆壁や天井に雨漏り、水漏れの後は無いか→雨漏り
(あれば触ってみて湿っているかどうかを確認)
◆天井のハラミ→雨漏り
◆クロゼットや押入れの湿気→雨漏り・結露
◆サッシ周辺の結露跡→結露
◆屋根裏収納の湿気・カビ・雨漏れ跡→雨漏り・結露
◆点検口はあるか
◆ブレイカーの電気容量、コンセントの数
◆シャッターや雨戸の有無
◆各部屋にエアコンのダクト穴があるか、エアコン用のコンセントはあるか
建物で最も心配なのは、「雨漏れ」「建物の強度」です。チェック項目の多くはこれらの痕跡や形跡が無いかを確認する内容になっています。

◆床下の防蟻処理(シロアリ防止の消毒)は、5年に一回の頻度で施工することが推奨されています。必ずしも5年に一回必要かは疑問があるところですが一般的な防蟻処理の保証期間は5年となっているかと思います。中古住宅の場合は前回いつ施工したかを確認しておくと良いでしょう。
◆エアコンや給湯器など住宅設備は建物本体ほどの寿命は無いため必ず性能低下や故障が起こります。とくに10年以上使っているものは設備自体が旧型のもので修理代もかさみます。初めから交換することを覚悟しておいたほうが良いかと思います。
アパートは、第三者賃貸中であることが多いため室内を確認することが難しいと思いますが、空室があれば是非室内を確認してください。
重要事項説明書等の確認
不動産を購入する場合、プロである売主や仲介業者は消費者に対し、その不動産または売買に関する重要な事項を書面にて説明しなくてはならないことになっています。
その時期は契約締結前となっています。
多くのケースは契約当日に説明されることが多いのですが、素人がその場で理解するのは難しいと思います。
できれば事前に下書きを入手して目を通して頂きたいと思います。そのうえで理解できないことや問題点があればチェックして担当者に質問してください。
また、重要事項説明書や売買契約書の不随書類として「物件状況報告書」「付帯設備表」(会社によって名目は違うことがあります)がありますので、特に過去の雨漏りや浸水などの被災関係、増築や修繕などの履歴、設備の付帯状況については良く確認してください。
水道・ガス・下水などの設備がどのような経路で敷地内に引き込まれているのかについても配管図表(会社によって名目異なる)で確認してください。
配管が他人の敷地を通って引き込まれていたり、他人の配管が自分の土地を通過しているような場合には注意が必要です。
2.プロによるインスペクションを依頼する
ご自身で目視したが「少し問題があるかもしれない」「問題がありそう」「不動産屋は大丈夫と言うが不安だ」などと感じる方も多いと思います。
素人が目視だけで建物の問題を発見し、その問題の内容や対処方法を判断することは不可能だと思います。


また、物件見学のときに屋根裏や床下を確認することは現実的に難しいことがほとんどですし、見たところで「どこを見ればよいのか?」となります。

知り合いに建築士等のプロがいれば書類確認や現地確認を頼まれたほうが良いかと思います。
「頼める人がいない」「頼みずらい」とお考えの方は、「ホームインスペクション」の利用をお勧めします。
インスペクションとは資格をもつインスペクターが、建物や敷地を診断して報告書にまとめてくれるサービスです。
費用は10万円~20万円ほどが相場だと思います。もちろん所有者の承諾が無いと実施できないのですが、長く住む住宅ですから「後悔しないために」ご利用を検討しましょう。
今回はここまで
最後までお読みいただきありがとうございました。
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