ここ数年不動産投資の投資先として、大阪の物件を選ぶ投資家が増えています。
海外の投資家も「大阪」という都市に注目しています。
なぜ大阪を選ぶのか?
その理由をなるべくシンプルに解説しましょう。

東京から大阪に転勤してきて4年が経ちました。
東京で仕事をしていたころは、なにもしなくても日本全国様々な不動産情報が入手でき、都心部はもちろんのこと。実際に北海道から沖縄まで、幅広い不動産を扱っていました。
場合によっては、ハワイのコンドミニアムやシンガポール、バンコクの取引にかかわることもありました。
不動産の賃料や価格は、類似不動産との比較の中で、相対的な価値判断を通じて形成されます。
以前に比べると、世界的に不動産価格の透明度が高まっているのでなおさらです。
条件が等しいA・B二つの物件があるとして
Aが1000万円の価格にもかかわらず、Bの物件を1500万円で売ろうと思っても余程の特殊事情がないかぎり無理なのです。
投資の考え方がグローバル化した現代では、投資家は日本に限らず、様々な投資をすることができます。
むしろ日本の投資家は遅れていると言っても良いでしょう。
不動産に関して言えば、世界的な投資家は、幾つかの判断基準に照らし合わせてグローバルな視野で投資物件を決定します。
・カントリーリスク(自然災害・政治的安定性など)
・マーケット透明性
・ボラタリティ(振れ幅、利益・損の想定)
・成長性
・為替動向
・賃料動向 その他
などによって、投資の可否を判断します。
世界的な投資家のように、プロの目線で世界の様々な物件を比較し投資判断をするのは、一般の投資家にはできません。
なぜ、こんな話をしたかというと、「世界的な投資家」がターゲットにするような不動産を選ぶことができれば・・・
失敗するリスクが減ると思いませんか?
日本にいる私たちは、海外のことについて情報が少ないので海外の不動産に投資することはリスクが大きく、海外の不動産に投資することで得られた「ハイパー償却」などの税制メリットも廃止されてしまったので、海外不動産への投資はオススメしません。
日本国内で、海外投資家が目を付けそうな物件を選べば良いのです。

ここで2つの指標を見てみましょう。
目次
高級マンション価格指数
これは、ハイグレードマンションの価格を東京を100として指数化したものです。
香港が非常に高いことが目につきますが、これは、香港の地政学的特徴によるもので、開発できるエリアが著しく限られていることに起因します。
香港・ロンドンを別にすれば、東京の価格水準が高いことがわかります。
また、シンガポールを除いた東南アジア諸国の価格水準が低いことがわかります。
大阪は、東京の60%弱の価格水準となっています。
高級マンション賃料指数
今度は、高級マンションの賃料について、東京を100として指数化したグラフを見てみます。
こちらを見るとニューヨークやロンドンの賃料が非常に高いことがわかります。
反対に、上海や台北は、価格水準のわりには賃料がそれほど高くないということになります。
価格が高く、賃料が高くないということは、投資をしたときに賃料から得られるリターンが少ないということで、利回りで考えると低くなるということです。
一般的に、利回りが低くなりすぎると、投資家は離れていきます。
ただし、利回りが高ければ良いかというと、そういうわけではなく、先にあげた「カントリーリスク」などのリスクが高いと判断すれば、その分利回りが高くないと投資家は投資しません。
逆に、利回りが低くても、市場に成長性があって、値上がりすると予想すれば、投資適格と判断するケースもあります。
ちなみに大阪の賃料指数は東京の80%ほどです。
東京と大阪を比較してみる
見て頂いたグラフは、いずれも東京を100としているものでした。
東京 価格100 賃料100
大阪 価格56.2 賃料80.1
これを、どう見ますか?
仮定の話をすると
東京で、10000万円の物件の賃料が年間400万円
同じ広さの物件が
大阪では、5620万円で購入でき賃料が年間320万円入るということになります。
価格と賃料だけ見れば、大阪の物件は割安だと言えます。
東京のマーケット
東京の不動産マーケットは、アベノミクスや東京オリンピック誘致をキッカケに上昇に転じ昨年まで上昇してきましたが、価格水準的にはかなりの高値水準になったことから、昨年夏前に踊り場を迎え、緩やかな価格調整局面に入っているというのが著者の見方です。
今後、数年間はある程度の価格調整をしていくという局面だと考えられます。
大阪のマーケット
1991年のバブル崩壊以降、大阪に本社を構えていたほとんどの大企業の本社機能は、大阪から東京へ移転することになります。
そんなこともあり、大阪のオフィスマーケットは冬の時期を迎え、不動産マーケット自体が、外からの需要が少ない大阪オンリーの非常にドメスティックなマーケットになってしまいました。
ところが、政府が観光立国を掲げ、外国人観光客の誘致に本腰を入れ始めると、大阪には多くの観光客が押し寄せることになります。
一方で、「大阪都構想」はとん挫したものの、大阪の自治は独自性・積極性を手に入れ、大阪万博誘致・IR誘致と「新しい大阪」を目指す方向性を強めました。
東京からは出遅れましたが、大阪駅北ヤードのような「大規模都市再開発」も行われるようになっています。
東京で不動産価格の高騰が起こると、他の大都市に波及していきます。
札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、福岡などが主な所ですが、この中でも「大阪」の価格上昇はいつも緩慢でした。
原因は、大阪人気質でしょうか笑
「そんな高いもんよう買わんわ!安なったらこうたる。」
ってな感じで・・・。
価格上昇が、他の大都市と比較して緩慢だったことと、今後の都市開発が期待できること、新型コロナの影響で多少の価格調整があったことで、インバウンドが戻れば、マーケットが盛り上がる余力を残していると考えています。
大阪の中でも値上がりが期待できるエリアは限定的
価格の値上がりは、供給を需要が大きく上回ることで起こりますが、最近ではそのような現象は、外部からのニーズの流入によってしか起こりません。
なぜなら、人口が増えないからです。
インバウンドも含めて、在阪の企業や大阪居住者以外の買い手が、購入するエリアは、多くの場合「大阪市内の中心部」だけです。
北は梅田周辺~南は難波周辺まで、東は堺筋あたり~なにわ筋あたり、
この長方形のエリアが、今後値上がりが期待できるコアエリアになります。
なお、住居系(アパート、賃貸マンション等)では、その周辺にまで広がりますし、倉庫・配送センター・ショッピングモールなどに投資する場合には、エリアはより広くなります。
オフィス等の商業ビルや分譲マンションに限っては、コアエリアを外さない方が賢明でしょう。
ただし、万博やIRの予定地となっている、夢洲からのアプローチが容易な駅周辺のエリアは大きく化ける可能性があるため、安く買えるのであれば投資先として非常に面白いと思います。

その他の大都市
札幌、仙台、名古屋、広島、福岡の都市のデータとの相関については、また別の機会にまとめてお話したいと思います。
個人的に、投資先として面白いと思うのは、福岡でしょうか?
やはり、アジアに近く交通の便が良いというのがその理由です。
投資家目線で、都市を見てみると面白いですね。
今回は、ここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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