誰でも自分の持っている不動産が高く売れるにこしたことはないはずです。
しかし、やみくもに高い値段をつけても売れるでしょうか?
所有する不動産を売却する場合、ほとんどの方がなるべく高く売りたいと考えるのでは無いでしょうか?
ここでは不動産の価値についての考え方を整理して、どうやったら不動産の価値を高めることができるのかについて考えてみたいと思います。
目次
1.不動産価格の算出方法とは?
不動産業者が不動産の価格を提案する際に「価格査定」を行います。
価格査定の考え方の基本になるのは、価格について買い手がどのように判断をするのかということです。
なぜならば、いくら高く査定価格を出しても買い手がいなければ机上の空論に終わってしまうからに他なりません。
不動産の価格査定方法はいくつかあります。
どの方法を採用するかは、その不動産をどんな買い手が、どのように考えて買い値を判断するかによって使い分けます。
①取引事例比較法・原価法
例えば住宅地のなかにある普通の住宅の価格を判断する場合、買い手はどう考えるでしょうか?
同じ住宅地の中、あるいは比較的近い条件のほかの物件と比較して、「日当たりはどちらが良いか」とか「建物はどちらが新しいか」などと優劣をつけ、「同じ値段ならこちらが良い」とか「条件は多少落ちるが安いほうが良い」などと考えるはずです。
このような場合の査定方法は、土地は「取引事例比較法」、建物は「原価法」を採用します。
「取引事例比較法」とは、実際に近隣で売却された物件を事例にとって、様々な要素について二つの物件にポイントをつけていって、最終なポイント合計の格差から査定価格を算出する方法です。
例えば最近A事例が坪単価100万円で売れたとして、近隣のB物件を査定する場合。
A事例のポンイトが100点、B物件のポイントが110点だったとすると
100万円 ×110ポイント/100ポイント = 110万円
となり、B物件の査定坪単価は110万円となります。
なお、ポイントを付ける項目は多数あり、土地の形状、日当たり、騒音の有無等、いずれも買い手が購入を検討する際に気にするであろう項目となっています。
「原価法」とは、建物を建築する際にかかったであろう金額から、経過年数に応じて減価していく方法です。
この方法では建物の構造やランクによって減価する率が変わってきます。
減価した結果残った価値が建物の査定価格となります。
結果として、土地と建物の査定価格の合計がその不動産の査定価格となります。
②収益還元法
それでは、アパートや賃貸マンション・ビルなど収益用不動産の価格はどのように算出されるでしょうか?

買い手は、その物件から収益を得ることを期待して購入を検討するでしょう。
要するに投資の考え方で判断することになります。
いくら投資して、年間どれくらいの収益があって、保有コストが年間にいくらかかり、手元にいくら残るか?
というように考えるはずです。
それを数値化して指標にするのが「利回り」です。
例えば5,000万円のアパートを購入したとして、年間500万円の賃料収入があり、保有コスト(管理や固定資産税など)が年間100万円かかるとした場合の「ネット利回り」は
(500万円 - 100万円) ÷ 5000万円 = 8.0%
となります。
それぞれの物件について、その立地や種別・経過年数等から、買い手が期待するであろう利回りを想定して、そこから査定価格を算出する方法が「収益還元法」といわれる方法であり、その場合の利回りを「還元利回り」と言います。
利回りには、保有コストを先引く前の収入をもとに算出される「表面利回り」と、保有コストを差し引いたあとのネット収益から算出される「ネット利回り」の2種類があります。
③開発法
比較的広い土地や、マンション等が建築できるような土地の価値を算出する場合はまた別の査定方法になります。
その土地にマンションなどを建設する事業をすることをシミュレーションして土地の価格を算出するのですが、この方法を「開発法」といいます。

この方法で土地価格を算出する場合、事業の内容は、「戸建て分譲事業」「ビル賃貸事業」「マンション分譲事業」等のなかから、その土地を生かすために最もふさわしい方法が採用されます。
事業で得られる収入から建築関連コストや直・間節費用、想定利益を差し引いたものが土地の仕入れコスト=土地の査定価格となります。
以上が不動産価格の査定方法の概略となります。
ここまでで説明した不動産査定額が算出される仕組みを知ることは、「不動産を高く売る」ための第一歩となります。
では、現実問題としてどうやれば不動産を高く売ることができるのでしょうか?
2.自宅を高く売るには

個人のユーザーが主な購入検討者となるようなご自宅等を好条件で売却するためには購入者から見て「住みたい」家にできるかどうかが成否の鍵を握ります。
利便性や間取り、築後何年か等の条件は諸々ありますが、買い手の意思決定に大きな影響を与えるのは「イメージ」なのです。
そこに住むことで「楽しくて幸せな生活」をイメージできるれば購入を検討するでしょう。
具体的にはどうすれば良いのか?
いくつかのヒントを箇条書きにしておきます。

◆とにかく見た目が肝心。なるべく明るく綺麗に見せる。
◆少しでも広く見せる努力をする。見た目邪魔なもの、生活感のあるものは隠す。
◆庭やベランダがあれば使わなくて良いのでバーベキューセット等の小物を置いて、家族の楽しい週末をイメージしてもらう。
◆物件のメリット・デメリットを抽出しメモを作り、担当営業マンと共有する。
◆販売期間長期化で「売れ残り感」が出てしまうため、極力短期間で売れるような販売計画をたてる。
◆新学年や新学期のスタートの入居を意識して物件探しをする買い手が多いため、それを意識したタイミングで売却開始する。
ハウスクリーニング、小物などをそろえてもせいぜい出費は20万円程度、それで50万円以上高く売れると考えて多少の投資をしてください。
3.収益用物件を高く売るには

購入を検討するのは個人の投資家・資産家、転売・保有目的のプロです。
購入を決定するポイントは、「収益性が高い」「立地が良い」「管理状態が良い」「建物の状態が良い」「融資を受けやすい」などとなります。
高く売るコツとしては以下の通り。
◆表面利回りを下げてしまうため、無理に安い賃料で空室を埋めない。
◆賃料を下げるより敷金・礼金ゼロ、フリーレント等を上手く使う。
◆清掃やメンテナンスは計画的に実施する。
◆建築確認関係書類。竣工図面、修繕履歴、土地測量図、賃貸契約書類は整理して保管する。
◆安易に不法な増改築・用途変更は行わない。
◆建物が古くなってくると更地価格のほうが高くなるケースがある。更地価格を把握し売却手法を検討する。
4.広めの土地を高く売るには

広めの土地を売却する場合、購入を検討するのは主に開発業者になります。
戸建て分譲、マンション分譲、収益物件建設等を目的として土地購入を検討します。
高く売るコツとしては以下の通り。
◆分譲マンション、戸建て開発、収益物件建築のうちどの事業が一番土地を高く買うかの検証を担当者に依頼する。
◆測量(確定測量)は早めに着手する。
◆隣接地所有者が購入するケースがあるため、販売担当者と打合せのうえ隣接地所有者にアプローチする。
5.プロが買い手のケース(共通)

◆販売方法(入札方式等)・スケジュール・目標価格等について担当営業マンと良く打合せをする。
◆入札方式にする場合は幹事会社を有力会社一社に絞る。
◆相対の価格交渉に入った場合。買い手からみてギリギリ高めボール程度の目標価格を投げかける。ただし交渉期間を長期化させることは破談のリスクがあるため避ける
◆価格以外の条件についてよく説明を受ける。
◆エリア外からの買い手も想定されるため、広域にネットワークがある仲介会社を選ぶ。
6.一社に頼む(専任媒介)か? 複数の会社に頼む(一般媒介)か?
複数の会社から売りに出すことは、すぐに情報が出回り、物件情報の新鮮味がなくなってしまうことにつながります。
まずは販売力のある会社一社に窓口を絞ることをお勧めします。
一般媒介のほうが良いケースもありますが、その場合でも有力と思われる会社3社程度までにしておいたほうが良いと思います。
なお、不動産業者 担当営業マンのモチベーションが価格を左右するケースも少なくありません。
担当営業マンとは良い関係を築いて、がんばってもらいましょう。

今回はここまで
最後までお読みいただきありがとうございました。
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