新型コロナウイルス拡大によってにわかに広まったリモートワーク。
オフィスに出社せずに、自宅などで仕事をする人が多くなりました。
一方で、日本の人口減少によって起こっている「空き家問題」。
自治体やNPO団体などが「空き家問題」を何とか解消できないかと様々な取り組みをしています。
そんな中、TV番組などでも取り上げられている「渡り鳥生活」という動きがあるのをご存じでしょうか?
渡り鳥生活とは
「渡り鳥生活」について簡単に説明すると
まず、運営会社が「空き家」になっている住宅を改修し「賃貸住宅」として再生し、ウイークリーやマンスリーで賃貸します。
このような「空き家再生賃貸住宅」を転々としながら生活するスタイルを「渡り鳥生活」といいます。
これによって定住を前提としない自由な生活スタイルが生まれます。
これが、「渡り鳥生活」です。
この生活スタイルには
・オフィス通勤を前提として通勤可能範囲で「渡り鳥生活」をするスタイル。
・リモートワークを前提として、通勤という制約にしばられず広範囲を「渡り鳥生活」するスタイル。
の2種類があります。
なお、「渡り鳥生活」とは少し異なりますが、「渡り鳥住宅」の使い方の一つとして
・観光目的で、一週間単位で別荘を利用したり、古民家に滞在して田舎暮らしを楽しむ。
といった方もいます。
私の仕事では、どうしても人と面談することが必要になりますので、「渡り鳥生活」をすることは難しいので、使うとすれば観光目的ということになりますが、PCワークが主な仕事であれば、このような生活スタイルのニーズがあるのも頷けます。
「空き家問題」で悩んでいるオーナーにとっては渡りに舟
「渡り鳥生活」にとって欠かせないのは、その対象となる「空き家」です。
会社にもよりますが、「渡り鳥生活」を運営する会社が対象としている「空き家」は、
利用しなくなった古民家や別荘、郊外の住宅など多岐にわたります。
一方で、相続によって取得した地方の住宅、以前は利用していたが使わなくなった別荘などの中で
「売却しようと思っていてもなかなか買い手がつかない」
「貸そうと思ってもなかな借り手がいない」
また
「管理が面倒で、使わないのに固定資産税などのコストがかかる」
「使っていないと建物がどんどん老朽化してくる」
といった悩みをかかえている方は少なく無いと思います。
「渡り鳥生活」の「短期賃貸住宅」を運営する会社は、このような「空き家」を借り上げて利用者に転貸するので、「空き家問題」解決の一つの方法になっています。
ただし、大きな収益を生むと考えるのは虫が良い話で、運営会社がオーナーから借りるときの賃料は「固定資産税 + α 」程度になります。
しかしながら、放っておけば固定資産税や管理コストがかかりキャッシュフローがマイナスになる「空き家」が、多少なりともキャッシュを生む資産になると考えると悪い話ではないと思いますし、煩わしい建物の管理をしてくれるだけでもずいぶん助かると考える方は多いのではないでしょうか。
なお、「空き家」について売却中だがなかなか買い手がつかないような場合、「渡り鳥住宅」として貸しながらも売却活動を続けることが可能なのです。
全国渡り鳥生活俱楽部(株)
「渡り鳥生活」にとって欠かせないのは、「空き家」を提供するオーナーと、その「空き家」を「渡り鳥住宅」として管理・運営する運営会社です。
今回私が取材してきたのは東京・有楽町にある「全国渡り鳥生活俱楽部㈱」という会社。
この会社の代表である牧野知宏さんは、ほかに「オラガ総研株式会社」や「株式会社オフィス・牧野」の代表でもあり、不動産コンサルティング、講演、執筆活動、地方創生支援など幅広く活躍している方です。
牧野社長の著書は20冊以上に及び、TVやラジオ番組などのコメンテータとしても活躍している非常に優秀な方なのですが、一方で、とても気さくな方で、私も10年ほどお付き合いさせて頂いております。
それでは、全国渡り鳥生活俱楽部㈱について少し説明させていただきましょう。
全国渡り鳥生活俱楽部とは
全国渡り鳥生活俱楽部は
1.全国渡り鳥生活倶楽部とは、国内各処に設立する地域活性化のためのプラットフォームを通じて、倶楽部会員と地域住民、団体、自治体、法人等との交流人口、関係人口の増加を図り、地方創生に資することを目的とした地域サービス事業です。
2.各地域のプラットフォームは地元住民や法人などによって構成され、渡り鳥会員と地元の橋渡し役となります。
3.全国渡り鳥生活倶楽部では、個人・法人の優良会員を募集し、地域内での観光等を楽しんでいただくだけでなく、地元の方々とともに地域の課題解決に取り組んだり、地元のイベントなどの手伝い、新しいビジネスの創造などに知恵を貸していただく『地域創生サービス事業』を展開します。
4.こうした取り組みを行うために、1週間単位、最大1か月の滞在プランを用意し、従来の観光や旅行だけでは味わえなかった地元との交流を通じて第二第三の故郷づくりにも役立てていただきたいと思います<全国渡り鳥生活倶楽部が目指すもの>
1.私たちが目指すものは豊かな地方生活を楽しむための新たなステージの提供です。
2.倶楽部は地域渡り鳥というプラットフォームにおいて、渡り鳥会員と地元地域住民、団体、自治体、法人などとの関係人口、交流人口を増加させ、地方創生につなげるものです。
3.倶楽部では地域での活動を支えるため、地域ごとに事務所や宿泊施設等を用意します。引用元:全国渡り鳥生活俱楽部「事業の紹介」より
全国渡り鳥生活俱楽部の事業は、地方自治体などとの協力関係のもとに、「空き家」を有効活用するという地域活性化のためのプラットフォームを通じた「地域創生サービス事業」ということなのですね。
また、利用者にとっては中長期滞在型の新しいバカンスの在り方を提案しているようです。
全国渡り鳥生活倶楽部事業スキーム
1.運営会社は「空き家」オーナーとの間で定期借家契約を締結します
2.賃料は『固定賃料+実績賃料』を基本とします
3.実績賃料は利用実績に応じて運営側が一定の手数料を控除のうえ支払いします
4.運営会社は、「空き家」内にある家具、什器、備品などは利用可能なものであればそのまま利用します
5.足りないものにつきましては運営側で用意します
【対象となる住宅施設】
1.息子、娘は都会に出て、盆と暮れにしか使わなくなった実家
2.先代が建てた贅を尽くした別荘で今は利用頻度が減少した邸宅
3.街中にあって各所に出向くのに便利な町家など
【物件借上げ手順】
1.物件診断
物件を実際に拝見し、倶楽部としての活用可能性を診断させていただきます
2.賃貸借条件の設定
弊社より固定賃料および変動賃料の賃借条件を提案します
3.定期賃貸借契約、建物管理契約の締結
オーナー様の実情に合わせて定期借家契約および建物管理契約を締結します
物件の売却をお考えの場合は売却活動期間中に限っての借り上げができます
4.家具備品等の使用貸借契約締結
家具備品関係の内容を精査のうえ、使用契約を締結します
5.転貸実績に応じた実績賃料のお支払い
オーナーのメリット
「空き家」を渡り鳥住宅にすることでオーナーにはどんなメリットがあるのかを整理してみます。
1.「空き家」を活用することで、家の老朽化、劣化を遅らせることができます
2.ご自身が利用するときは会員に使用させないことができます
3.住宅にかかる税金等の負担をなくし、さらに実績賃料分を受け取ることで遊休資産を活用することができます。また、賃貸住宅にすることで相続税対策になります
4.建物管理を委託することで管理の手間から解放されます
5.転借する会員が地元で活動することで地域社会に対する貢献につながります
6.賃貸先が法人であり、定期借家契約が基本となるため、借家人に家を占拠されるようなリスクがありません
7.民泊とは異なり、身元調査がされた会員が利用しますので地元とのトラブルを心配する必要がありません
全国渡り鳥生活倶楽部事業エリア
自分が持っている「空き家」は対象エリア外なのでは?と思っている方もいるでしょう。
渡り鳥俱楽部の事業範囲についてお話します。
現在10数戸のハウスを設置。地域渡り鳥プラットフォームの構築中で、2021年中に全国で50棟、会員100名以上、15カ所以上の地域渡り鳥プラットフォームを構築予定です。
また、5年後には500棟、会員1500名体制を構築する予定です。
【全国渡り鳥生活倶楽部事業今後の重点エリア】
なお、全国渡り鳥生活倶楽部では、今後様々なカテゴリーの「渡り鳥住宅」を募集しています。
歴史文化:京都、奈良、鎌倉、萩、国東
温泉:熱海、別府、湯布院
リゾート:沖縄、ニセコ、松本、軽井沢、安曇野、飛騨高山、湘南、阿蘇、霧島
拠点都市:福岡、長崎、神戸、松山、金沢、仙台、札幌、小樽
離島:屋久島、小笠原諸島、五島列島、隠岐の島
農林漁業系(農林漁業体験)
趣味趣向系(陶芸、伝統工芸)
※「ご興味がある」「一度話を聞いてみたい」という方は末尾記載の連絡先までお問合せしてみて下さい。
渡り鳥住宅を利用するには
渡り鳥住宅を利用するには、まず「全国渡り鳥俱楽部」の会員になっていただく必要があります。
会員には、個人会員と法人会員があり、個人会員には「ダイヤモンド会員」「プレミア会員」があります。
また、施設は「ラグジュアリー」「レギュラー」「エコノミー」とランク分けされています。
ここでは、個人会員の「ダイヤモンド会員」「プレミア会員」について概要だけお話します。
【入会金・月額会費】
入会金 | 月額会費 | 利用単位 | 最大利用 | |
ダイヤモンド | 50,000円 | 150,000円 | 1週間 | 3ヵ月 |
プレミア | 3,0000円 | 50,000円 | 1週間 | 1ヵ月 |
【プレミア会員】
会員期間:1年(満期で更新します)
月額5万円で全国の渡り鳥ハウスを1週間単位でご利用いただけます
1か所のハウスでの連続最長利用週は4週(約1か月)です
月額会費にはハウスの利用期間中にかかる水道光熱費が含まれます
会員様のほかあらかじめご登録いただいたご家族様もご利用できます(別途会費は不要です)
各ハウスは利用期間中、定員以内であれば、ご友人、同僚等をお招きいただけます(別途会費は不要です)
ハウス内には生活に基本的に必要な家具、家電、備品類があらかじめ備わっています。着替えやご自身の嗜好品などのみをお持ちになって気軽にお越しください
【ラクジュアリー会員】
会員期間:1年(満期で更新します)
月額15万円で全国の渡り鳥ハウスを1週間単位でご利用いただけます
1か所のハウスでの連続最長利用週は12週(約3か月)です
月額会費にはハウスの利用期間中にかかる水道光熱費が含まれます
会員様のほかあらかじめご登録いただいたご家族様もご利用できます(別途会費は不要です)
各ハウスは利用期間中、定員以内であれば、ご友人、同僚等をお招きいただけます(別途会費は不要です)
ハウス内には生活に基本的に必要な家具、家電、備品類があらかじめ備わっています。着替えやご自身の嗜好品などのみをお持ちになって気軽にお越しください
細かい決まりはあるのですが、概ねこのような感じになっています。
「プレミア会員」であれば、入会金も含めてい年間の出費は63万円、月になおすと52,500円、通常の賃貸マンションなどであれば敷金や駐車場代などもかかることを考えると、年間を通じて「渡り鳥生活」をするならば決して高くはありません。もし夫婦など2名以上で利用するのであれば、さらに負担はかるくなります。
「ダイヤモンド会員」の場合は、年間の出費が185万円、月になおすと約154,167円となり、こちらは少しコスト高にはなるので、2名以上での利用でないと厳しい感じがします。
渡り鳥俱楽部サポーター制度
全国渡り鳥生活俱楽部には「サポーター制度」があり、会員の日常生活サポート、地域住民などとの橋渡し、渡り鳥ライフを楽しむためのヒントを学ぶ講座の開催などを企画するサポーターがいるのも特徴です。
ただ田舎の「空き家」に住むだけでなく、地元のイベントに参加したり、農業体験や研修などを通じて地元のコミュニティに参加する手助けや、プロデュースをしてくれます。
困った時にも頼りになりそうです。
以上、渡り鳥生活俱楽部の概要をお話しました。
最後に、全国渡り鳥生活俱楽部の会社概要を書いておきましょう。
またポータルサイトにはより詳しい内容が書かれていますのでご興味があればご覧ください。
全国渡り鳥生活倶楽部株式会社概要
所在地:東京都千代田区有楽町1-9-4 蚕糸会館5階
設立:2018年11月1日
資本金:1億6,250万円(資本準備金含む)
代表取締役:牧野知弘
事業内容
生活倶楽部運営
地域プラットフォーム作成
自治体連携、生活メニュー作成など
空き家について相談したい方
渡り鳥生活に興味がある方
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