今回は、私のビジネスパートナーでもある税理士:廣田龍介氏が新たに出版した著書「スッキリ相続への道3」をご紹介します。
私も先生から頂いて早速読んでみましたが、面白い内容になっています。
まずは広田先生のプロフィールから
廣田龍介(ひろた・りゅうすけ)プロフィール
・福島県いわき市生まれ
・1985年税理士登録
・税理士法人タクト・コンサルティングを経て
・エクスプレス・タックス税理士法人・代表社員
・法人・個人の確定申告、相続税申告、不動産の有効活用、遺言作成アドバイス、家族信託といった業務を中心に幅広いコンサルティング業務を行う。
・相続に関する講演やセミナー、相談会を随時行っている。
・土地は「持つべき資産」から「利用すべき資産」への発想に転換すべきことを早くから提唱。その具体例をケーススタディ方式でやさしく解説し、多くのファンを持っている。
私が廣田先生と出会ったのは、廣田先生がタクト・コンサルティングに在籍していた時のことで今から10年以上前のことでした。
私のクライアントの税務に関する相談などを経て、私どもが主催するセミナーの講師などを何度もお願いしています。
セミナーでは、少しご当地訛りが入ったやさしい語り口とわかりやすい解説で、聴講者はなごやかな雰囲気のなかで廣田先生の講和に聞き入ってしまいます。
私が転勤で大阪にいた時も、大阪のクライアントのためにわざわざ東京から駆けつけてくれました。
知識や経験も申し分なく「相談しやすい」税理士です。
廣田先生は数々の著書を世に送り出しているのですが、今回出版したするのが「スッキリ相続への道3」です。
【スッキリ相続への道3】
初版:2021年5月31日
著者:廣田龍介
発行:株式会社方丈社
価格:1,300円(税別)
「スッキリ相続への道3」を目次に照らしてご紹介しましょう。
スッキリ相続への道3 前書き
2020年1月、豪華クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号に新型コロナウイルス感染者が確認されてから、1年以上が過ぎました。その脅威は、コメディアンの志村けんさんや女優の岡江久美子さんが亡くなり、自宅へお骨になって戻ってきた悲劇を目の当たりにして、忘れようにも忘れられない強いショックを受けることになりました。それ以来、日本国民は新型コロナと向き合い、感染防止対策を続けています。
この状況は、相続対策にも大きく影響を及ぼしています。新型コロナの感染リスクは高齢者、特に基礎疾患を抱えている人に大きく、楽しみにしていた旅行や食事のための不要不急の外出を自粛し、自宅に籠る生活を強いられています。以前は、「もうこの年になると怖いものなど何もないよ」と言っていた方々も外出を控えてじっしています。表面上は気の強いことを言っても、健康には細心の注意を払っている・・・、人生100年時代をまだまだ謳歌したいという高齢者がたくさんいるのです。
そのような状況下、自宅で過ごしながら、自分の相続に真剣に向き合い、子供たちへの財産分けを遺言に残すことを検討する方も増えています。
最近の相続に対する考え方は、高度成長期やバブル期とは異なり、財産に対する価値観が変化しています。先代・先々代から守ってきた財産を、次世代以降に残す考え方が薄れてきているのです。
家督相続の時代から兄弟姉妹平等の時代へと、民法の改正による意識改革が起こったことや、経済環境と税制環境の変化、戦後は民主主義の考え方に移行し、高度成長期の消費経済という社会環境が要因になっているのではないでしょか。
また、地方から上京し、夫婦で老後の生活を楽しみに蓄えた財産だからこそ、自分たちで自由に使いたいという思いが強いのかもしれません。
高度成長期やバブル期、バブル崩壊期では、節税対策を中心に財産を守ることに専念した結果、対策をしても財産を守り切れないことを経験しました。それ以降、下手をしたら、一代で財産を失くしてしまうかもしれない厳しい時代が到来したのです。
今、相続対策は、古き良き時代を懐かしむ80代、90代の高齢者から、企業戦士といわれ日本経済を支えてきた団塊の世代の人たちへと、世代交代が進んでいます。
新しい流れとして、相続対策が国際的になってきました。国際結婚、海外移住など、日本国内に財産を残した状態で非居住者になっているケースが多く、税制面でも、国内の税法だけでは対応しきれない状況も出てきています。
逆のパターンもあります。日本留学、仕事、国際結婚などで日本に定住する外国の方の出身国の相続法、税法を含めて、国際的な相続対策を行う方が増えているのです。
経済がグローバルになることは、人に生活も国際的になることを意味しており、国際法が複雑に絡み合う時代になってきました。
この国際化の流れは、IT社会と共に普及し始めているマイナンバー活用にも表れて「います。政府が運営するオンラインサービス「マイポータブル」には自分専用の「マイページ」があり、各方面の本人情報が集約されています。
誓い招待、確定申告時に必要な証明書関係が「マイページ」から確認できるようになります。この「マイポータブル」と連携している行政・銀行・証券会社・保険会社やその他企業からの情報が集約される仕組みです。ここに電子マネー情報が組み込まれると、税理士の仕事がなくなってしまうのではないかと危惧する人もいます。
確かに、将来的には各個人の財産や収入などは、国に把握される時代になると思われますが、相続対策は所有する財産や収入の状況を変化させていくことにあります。相続対策は常に状況が変化しますので、税理士の仕事がなくなることを、私自身はあまり心配していません。むしろ、相続対策に真剣に取り組もうとする人たちの力になることで、生き残れる職種と考えています。
相続は富裕者層の方々の問題と思われがちですが、相続そのものは生きているすべての人の問題であり、すべての人の悩みです。各人各様の相続問題がありますので、その悩みを解決するそが相続対策と考えれば、税理士の仕事は無限にあるでしょう。
大事なことは、皆さまの「お悩む解決」をすること。お付き合いの程を宜しくお願い申し上げます。
廣田龍介
「スッキリ相続対策3」はじめに、より引用
スッキリ相続への道3の内容
2021年度税制改正
・非課税措置の取り扱いが改正される
・宅資金贈与は拡充
・育資金一括贈与は厳格化
・続・贈与は大改正が控えている
・新型コロナで地価下落?相続税申告には注意が必要
・今後の相続税申告三つのケース
・202年納税なら「時点修正」も
・東京都区内では約18%の人が相続税を払っている
【事例から学ぶ相続01】バブルからコロナ」ヘ。大きく変わった30年
コロナ禍の相続対策
・新型コロナによる収入減なら納税は1年間猶予
・中小企業にテレワークを促す措置
・住宅ローン控除は弾力化
【事例から学ぶ相続02】新型コロナ打撃の「賃料減免」。相続節税の大家が応じた気概
【事例から学ぶ相続03】コロナ禍で78歳の相続対策。「自宅に商業ビル」を建てる不安
【事例から学ぶ相続04】新型コロナで地方に「疎開」。82歳資産家がみた働き方改革
贈与と遺言、そして遺贈
・子どもや孫たちへ贈与で「愛を示そう」・井座波「一方的な行為」
・遺贈者は家族と一緒の申告手続きが必要
・契約を交わす「死因贈与」とは
【事例から学ぶ相続05】あげて節税、もらって笑顔。「贈与」は相続対策の王道
【事例から学ぶ相続06「全財産を贈る】との遺言に従った長男に、姉妹から届いた手紙
【事例から学ぶ相続07】ペットが実質相続人に?85歳Y子さんの遺言
次世代のための権利調整
・思い通りに活用できない共有名義
・広い底地なら分割して単独所有も視野に
・マンションを建てて分ける「等価交換」も
【事例から学ぶ相続08】父が残した不動産と会社。「均等相続」した3兄弟の難問
【事例から学ぶ相続09】長男と家屋を共有。「マイホーム売却の特例」の節税効果
帰路に立つ不動産投資
・広大な駐車場は「売却が得」
・「いよいよ不動産価格の下落か?」の不安
・問題は売却後の資金を何に使うか
【事例から学ぶ相続10】新型コロナで「節税マンション」が買えない!82歳相続対策の焦り
【事例から学ぶ相続11】10億円借り入れて不動産投資。「過度な節税」との境界
建物の老朽化が進む賃貸経営
・老朽化ビルオーナー「売却の決断」
・禁じられた「海外中古不動産」節税策
・リフォーム済み古民家も魅力
【事例から学相続12】亡父の遺した「老朽マンション」。大規模修繕で生かす道
【事例から学ぶ相続13】長男と2人で賃貸経営。「土地を残す」最良の方法
【事例から学ぶ相続14】バブル期の相続対策が裏目。「80歳女性」苦節の30年
人選が肝心の事業承継
・コロナ禍で本格化。中小企業の事業承継は待ったなし
・「納税ゼロ」で承継できるようになった
・「争族」の火種となる遺留分
【事例から学ぶ相続15】新型コロナで前倒し。「後継者選び」68歳社長の決断
【事例から学ぶ相続16】「父親の会社を残せる」か。優良中小企業2代目社長の悩み
【事例から学ぶ相続17】相続に社有地を利用。「往復ビンタ」食らった社長のなぜ
「愛読書は預金通帳」からの卒業
・ダンカン世代が後期高齢者になり始める
・相続財産の半分近くが金融資産に
・贈与税を払っても贈与を選択
【事例から学ぶ相続18】86歳妻が終活で悩んだ「亡父の2億円タンス預金」
【事例から学ぶ相続19】貸金庫にぎっしり現金4500蔓延。85歳亡父の思いは「謎のまま」
【事例から学ぶ相続20】倉庫にあった「金塊40キロ」。相続税はどうなる?
【事例から学ぶ相続21】亡父の預金8000万円。「独り占め」狙った妻のてんまつ
相続から考える「人生とは」
・領域広がる「相続ビジネス」
・ニーズに応える「家族信託」
・家族信託は税務上の手続きもスムーズ
【事例から学ぶ相続22】一人暮らしの母が言い出した。「泥棒にお金を盗まれた!」
【事例から学ぶ相続23】92歳父の相続対策。「借地に6億円マンション」で解決
【事例から学ぶ相続24】「新型コロナ対応」の3室。82歳が自宅に空き部屋を作った理由
【事例から学ぶ相続25】30年前の「リゾートマンション復活」。68歳の楽しい老後
廣田龍介 × 有山典子 対談
・相続は「損して、得取れ!」
・子どもに財産を残すため今日からでもできる相続対策
付録
・相続スケジュール、各種税率など
・身辺整理deスッキリ老後
以上
本書は、経験豊富な廣田先生の臨場感あふれる相談事例が多く盛り込まれ、とても分かりやすく書かれた著書で、相続のことが良くわからないといった一般の方でも読みやすい内容になっています。
資産家の事例もありますが、相続は資産家だけのものではありません。
妻や子供、兄弟など相続人がいれば必ず相続が起こります。
また相続対策は早く始めれば始めるほど効果は大きくなります。
「うちには関係ない」「対策なんてまだまだ早い」と思わず、この本を読んで、相続のことを考え始めてはいかがでしょうか?
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