中古マンションをリノベーション(リフォーム)した商品をご存じかと思います。
一見するとすごく綺麗に、お洒落にリフォームされているものも多く、
室内だけとってみれば新築マンションのように見えるものもあります。
そんな「リノベマンション」ですが、中には買って後悔するようなものもあるので注意が必要です。
今回は「リノベ済中古マンション」についてお話します。
リノベ済中古マンションとは?
「リノベ済中古マンション」はどのようにして商品になるのでしょうか?
一つの例をあげてご説明しましょう。
①築40年経過する中古マンション。不動産業者に売却の相談をすると「1500万円の査定額ですが、内装も汚れていてこのままでは一般の人は買わないでしょう。」
とのこと。
②それでも早めに現金化したいので、仲介業者の勧めで買い取り業者に1200万円で売却。
③買取業者は300万円をかけてマンションを綺麗にリフォームし1900万円で売却、200万円程の利益を得る。
こんな流れが多いのではないでしょうか。
リノベマンションになるのはどんな物件?
・古くなって内装の程度が悪いため売りづらい。
・現金化を急いでいる物件。
・競売物件
・事故物件
・賃貸中のまま売りに出た物件
中古マンションをリノベして販売する業者が目を付けるのは、これらのように理由があって少し安く買え、ひと手間かければ利益が出そうな物件です。
リノベ済中古マンションのメリット
「リノベ済中古マンションの落とし穴」と題しましたが、リノベ済みマンションが決して悪いわけではありません。
メリットもあるので、まずはそこからご説明しましょう。
手頃な値段で新築並みの内装
新築マンションは高くて手が出ない・・・。
中古マンションは手頃だが、他人が使った汚れなどが気になる。
という方にとっては、新築よりもお手頃な価格で、内装の綺麗なマンションに住めるというメリットがあります。
中古マンションを買ってリフォームしたいけど自己資金が足りない
住宅ローンは本体価格のみを対象とする場合が多く、リフォーム代は自己資金で用意する必要があります。
「リフォームローン」という商品もありますが、借入年数が短かったり、本体のローンを目いっぱい使ってしまうと使えない場合があります。
リノベ済みマンションなら、リフォーム代が本体価格に含まれているので少ない自己資金でリフォーム済みのマンションに入居することができます。
売主がプロなのでリノベーションのノウハウがある
リノベーションの中でも徹底したものは、一旦スケルトン(コンクリートの構造だけの状態)にして、浴室設備やキッチン設備、間取りまで変えて原型を留めないほどリフォームされているものまであります。
素人がここまでのリノベーションをするのはなかなか難しいと思います。
リノベーションに慣れた売主であれば、より住みやすく効果的なリノベーションのノウハウを持っています。
なので、バランスよく機能的なリフォームができるのです。
不動産業者が売主なので瑕疵担保責任(契約者不適合責任)が最低でも2年
瑕疵担保責任とは建物の構造上重要な部分の瑕疵(不具合等)について、売主が買主にたいして修復等の責任を負うことです。
一般のユーザーから中古マンションを購入する場合には、この売主の責任を免責にしたり、責任を負う期間を短かくすることができます。
一方不動産業者が売主で、買主が一般のユーザーであるときは、売主は買主に対し短くても2年の瑕疵担保責任を負います。
売主が責任感がある会社で、倒産しないような会社ならば安心できますね。
※不動産業者でないものが利益を目的として中古マンションを買取り、リノベーションして転売することは法律で禁止されています。
リノベ済中古マンションのデメリット
次にデメリットをあげておきましょう。
少し割高
仕入れ・販売等のコストや不動産業者の利益、一般の人が売主の場合にはかからない消費税などが価格に含まれているので、一般的には中古マンションを購入して自分でリフォームするよりも少しお高めになることが多いと思います。
リフォームコストだけとってみればプロが反復して仕入れるため、一般の人が発注するコストよりお安くなります。
その分、不動産業者は利益を得られるわけです。
前に誰が住んでいたかわからない
「知る必要もない」と言う人もいるでしょうが、中には「変な人が住んでいたら少し嫌だな・・・」と言う人もいるでしょう。
ひどい使われ方をしていたとしてもリノベーション済みだとわかりませんね。
なかには・・・。
これについては後程お話します。
売主は中小企業であることが多い
マンションのリノベ転売をする不動産業者は中小企業である場合がほとんどです。
中には大手が売主の場合もありますが、割合としてはごく少数です。
瑕疵担保責任などを負うといっても、企業としての信用力は少し物足りないのではないでしょうか。
デメリットをあげましたが、これは決して「落とし穴」ではありません。
落とし穴はこれから書くことです。
リノベ済中古マンションの落とし穴
マンションの共用部に問題が・・・。
室内はリノベできてもマンションの共用部まではリノベできません。
古いマンションでは耐震上の強度が不足している可能性もあります。
建築法規の耐震基準は昭和56年(1981年)に改正されています。
これ以前に建築許可を受けたものは「旧耐震基準」にもとづいて建築されています。
なお昭和57年に竣工したマンションは多くの場合昭和56年以前に建築許可を取得しているので注意が必要です。
「旧耐震基準」のマンションは資産価値も低くなってしまいます。
壁や床のコンクリートが薄い
比較的新しいマンションはコンクリートも厚く、二重床や二重天井などで防音対策がされているものが多くなっています。
ところが、古いマンションは隣接住戸との間の壁や床のコンクリートの厚みが薄い場合があります。
ちなみに最近のマンションは賃貸マンションでも床のスラブ厚が150mm以上ある場合が多いのですが、
昭和40年代から昭和50年代前半に建築されたマンションは、分譲でもスラブ厚が110とか120mmしかないものが多いのです。
単純にスラブ厚の問題だけではありませんが
「住んでみたら、上階やお隣りからの騒音が酷い。」
「トイレを流す音まで聞こえる。」
最終的に音の問題で住民間のトラブルが起こったり、家庭内で問題が起こることもあります。
そんなことが無いよう、壁や床の構造はチェックしておく必要があります。
リノベ予定に注意
リノベマンションの中にはリノベーション工事が完了する前に販売されるものもあります。
「寝室もフローリングだと思ったらカーペット敷だった。」
「説明されていたのとお風呂の大きさが違う。」
などということが無いように「仕様書」をチェックして、不明な点があれば契約前に質問しておきましょう。
買ったとたんに修繕積立金が値上げされた
マンションは10~15年に一度大規模修繕を行います。
新築マンションでは購入時に「修繕積立一時金」を支払うことが多く、すでに今後の修繕計画がシミュレーションされています。
建物は古くなると、修繕費が嵩んでくるのが一般的です。
また、戸数が少ないマンションは1軒あたりの負担が多くなることもあります。
既に値上げが決まっている場合は調べればすぐにわかるのですが、
「管理組合の総会で修繕積立金の値上げ案が議題に上っている」
ような場合に注意が必要です。
競売物件などでは、売主である不動産業者が前の所有者から十分に情報を引き継いでいないこともあるので注意が必要です。
事故物件
先ほど言いかけたことがこれです。
事故物件(自殺や事件などがあった部屋)は、なかなか売れないことが多く最終的に不動産業者が安く買うことが多くなります。
当然、不動産業者はこれを転売するわけですが、綺麗にリノベーションしてしまえば痕跡すら残りません。
法令では「告知義務」といって、「買主が物件の購入を判断するうえで重要な事項について、売主は買主に告知しなければならない。」とされています。
しかし、中には・・・。
これについて「大島てる」という事故物件を取り上げているサイトがありますので、そちらでチェックしてみると良いでしょう。
参考:大島てる 公式サイト
ローン減税が使えない
「ローン減税」をご存じでしょうか?
住宅ローンを借りてマイホームを購入した場合、年末のローン残高の1%を上限に所得税や住民税が戻ってくるというものです。
2021年の税制改正で減税期間の13年間が延長され、面積要件が50㎡から40㎡に緩和されます。
この面積というのがちょっと曲者。
マンションの面積表示には2種類あるのです。
①壁芯面積(販売面積・パンフレット記載面積)
②登記簿面積(壁の内側の面積)
①はお隣との壁の中心から図った面積で、②はお隣との壁の内側から図ります。
当然①よりも②のほうが小さくなります。
この「落とし穴」はリノベマンションに限らないのですが、陥りやすいミスなのです。
「パンフレットでは40㎡あるからローン減税が使えると思ったのに・・・。」
ということにならないように注意してください。
以上、リノベ済みマンションの「落とし穴」について書いてみたので参考にしてください。
なお、思いついたことがあれば追記させて頂きます。
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