今回は地主の家に生まれた、芝田泰明氏が自身の体験をもとに「地主が自分を守る方法」について執筆した著書を紹介しましょう。
先日、大阪勤務時代のクライアントでもある芝田泰明氏が東京に来たときに
わざわざ弊社に立ち寄ってくれました。
その時に、手土産に置いていっていただいた芝田氏の著書をご紹介しましょう。
タイトル:地主のための資産防衛術
サブタイトル:9割の地主はダマされる!不動産会社・銀行・証券会社にとって地主ほど「おいしい」カモはいない。8年間の壮絶な相続争いに勝利した11代目地主の著者が教える、あなたの資産を守る方法
著者:芝田泰明(株式会社芝田久右衛門 代表取締役)
発行所:幻冬舎
定価:本体1,300円+税
Amazonでも取り扱いがあります(Kindle版もあり)
著者について
株式会社芝田久右衛門代表取締役。株式会社地主ドットコム代表取締役。1978年兵庫県生まれ。
2012年父親の急死により、不動産業および、書店・レンタルビデオ・インターネットカフェを経営する同族グループ会社の代表として債務超過に陥っていた同社グループの経営再建に着手。
将来敵対することになる創業者であり前代表の叔父が意図的に分散させていた株式を回収し100%株主となることにより、同社グループの立て直しに成功。
更に⼀族全体の財産問題も含め8年がかりで全ての解決に成功。
株式会社芝田久右衛門代表取締役。自身の経験を多くの地主の役にたててもらおうと、講演会や執筆活動も積極的に行っています。
あらすじ① ご本人の体験談
この著書の内容は大きく分けて二つの内容からなります。
前半は、本人の体験談からなります。
地主の家庭に生まれましたが、それが故にイジメにあった幼少期。
東京の大学へ進学し、起業家を夢見て就職しましたが、父親の急逝によって夢をあきらめ地主稼業を継ぐことになったこと。
ただ、そこには親戚が作った借金の返済と、その親戚との骨肉の争いが待ち構えていたこと。
そして、地主としての自覚にめざめ、独学で勉強をし、優秀なブレーンとの出会いによって、本家当主の座を苦労しながらも奪還していくという赤裸々なストーリーが綴られています。
とてもドラマティックな展開にドラマ化されてもおかしくないのではと思ってしまいます。
「事実は小説より奇なり」といいますが、まさにいい得て妙です。
あらすじ② 不動産会社・銀行・身内から資産を守れ 実践編
第二部は、著者が実体験と、数々のセミナー等への参加を通じて、自身が身をもって実践している「地主業」のノウハウを紹介しています。
地主の周りには、地主の資産をアテにして様々な人間が群がってきます。
一番近しいところにいるのが兄弟や親せきなどの身内。
銀行や証券会社。
そして不動産業者やアパート建築業者などです。
著者は、経験を通じて信用できる人間と信用できない人間を見抜く審美眼を身に着けています。
また、独学で学んだ資産経営術や資産防衛術を本著のなかで紹介しています。
これまでにどんなブレーンに出会い、どれだけ頼りになったかなども資産経営をするにあたっては非常に参考になる部分だと思います。
コメント
地主や資産家は、本人が望まなくても資産を持っていることで、妬みの対象になってしまいます。
それを完全に払拭することはできないのではないでしょうか?
まず大事なのはそれを自覚することです。
そして、自分の回りにいる人間が、味方なのか敵なのかを見抜く必要があります。
金目当てと言うのは決して悪い事ではありません。
報酬に見合うだけの能力があって、報酬に見合うだけの提案や仕事を成し遂げる相手はブレーンであって敵ではありません。
能力以上の報酬や成し遂げた仕事以上の報酬を要求したり、何もしないのにうまくやってお金をもらおうとする相手は敵だと考えて良いでしょう。
そして、誰かの言いなりではなく著者のように学習を重ね、自分なりの価値判断と経営術を身に付けなければいけません。
そうでないと、親切そうな顔をして見せかけの提案をしてくる「輩(やから)」に簡単に騙されてしまいます。
日本という国はとても相続税の税率が高い国です。
税収が不足するとすぐに相続税率を上げてきます。
地主や資産家が、その資産を守っていくのは並大抵のことではありません。
資産を守るためには資産を適正な形にして増やしていく必要があるのです。
また、相続に関しては「相続争い」が度々おこります。
税対策だけではなく「相続で争いにならない」ための手段も講じておく必要があります。
なお、「相続で争い」は、地主や資産家だけでなく一般の家庭でも十分に起こりえるので、
「相続で争いにならない」ための手段は、家族を持っていて家などの財産が多少なりともあるような中流家庭でも講じておく必要があります。
本書には、地主や資産家が資産を守っていくためのエッセンスが詰まっています。
また、実体験からなるストーリーは大変興味深く、引き込まれること間違いなし。
単なる「地主」ではなく「地主業」を目指す方には是非読んでいただきたい一冊です。
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